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朝日新聞『声』欄投稿   大阪版:6月30日/東京版:7月3日掲載



Ronni Alexander
神戸大学教授・平和博物館を創る会理事



先日、核実験強行でわき立つインドから手紙が届いた。差出人はニューデリー市の「全インド退役軍人連盟」副会長という肩書きの人で、農村地域で社会福祉関係のボランティア活動に専念しているとあり、次のように書かれていた。

「先日、亜大陸で核実験が行われたことで、いま最も重要なことは、核兵器についての意識の向上です。私たちの国のほとんどの人は核兵器の恐ろしさについて何も知識を持っていないのです。日本の二つの都市の苦難はその縮図です。詳しい被爆の実相を、農村の人びとに知らせたい…。なぜなら、わが国の政治家は農村からほとんどの票を集めているからです。写真集を送って頂ければ、とてもありがたいのですが…」。

文面から「写真集」とは『広島・長崎=原子爆弾の記録』英語版のことと知れた。もう二十年近くも前に市民運動の手で作り、世界中に贈った350ページの分厚い一冊。

思えば、当時、広島YMCAに縁あって来日した私も、「二つの都市」の悲惨をあの写真集で学んだ。でも、日は経ちすぎて、とうの昔に品切れている。 何とかインドの市民に応えられないものか? 聞くところによると、英語・スペイン語・ドイツ・フランス語の刷版用フィルムはすべて保存されていて、実費で再版可能だという。
少なくとも核保有国の言葉で印刷して、各国市民に寄贈する手だてはないものか。

 

写真集

広島・長崎−原子爆弾の記録

子どもたちに世界に!被爆の記録を贈る会
1978年刊