広島日本赤十字病院


日本赤十字社広島病院(戦時下、広島陸軍病院赤十字病院となっていた)。爆心地から南1.6km 。中区千田町1丁目。「敷地内にあった木造建築は全部倒壊し、間もなく火を発して焼失したが、主な建築物は、鉄筋コンクリート3階建てであったので焼失は免れた。しかし鉄の窓枠は破壊しガラスはこっぱみじんに飛散し、内部も天井は落ち壁は崩れ椅子や机は倒れ、足を踏み入れることができないほどまったく壊れてしまった。…医師5名、薬剤員3名、その他43名計51名が死亡し、全職員の85%が重軽傷をうけた。…病院として機能を全く喪失してしまった」。だが、午後から職員の努力で臨時収容所が設けられ、翌日には山口、岡山などの赤十字病院から救護班が到着しはじめ、医療活動に入っていった。[「」内の引用は、後に病院長になった重藤文夫氏の『回想』(仁科記念財団編纂『原子爆弾=広島・長崎の写真と記録)より]

瓦礫の中の広島日赤病院。被爆直後から「どうしてもなさねばならないことは、次のようなことであった。
1.収容患者の治療をすること。2.外来に押しかけたり運び込まれたりする患者に何とか応急処置をすること。3.破壊された病室を清掃して少しでも患者の収容力を増すこと。4.衛生材料の確保補充。5.食糧の確保。6.次々に死んでいく死体の処置。7.便所をつくること。8.入浴場をつくること。9.飛散した病院の書類を収拾して紛失盗難を防ぐこと。10.職員及びその家族の死亡や負傷状況を知り、また職員の日々の活動状況を正確に把握すること。」[「」内の引用は、後に病院長になった重藤文夫氏の『回想』(仁科記念財団編纂『原子爆弾=広島・長崎の写真と記録)より]
外来患者治療室。機器の補給も整いはじめ、市内人口も極度に減ったこともあり、落ち着きを取り戻している。
日赤外来患者治療室
患者は南 1.7kmの南大橋の上で被爆した陸田さん。

やけどにより耳介軟骨膜炎を起こしている患者。

外来患者耳鼻科治療室。

外来外科治療室。

外来外科治療室で。

外来外科治療室で。

菊池メモ:日赤入院患者 佐々木トシ子 受傷地:天満町105東洋製鉄。病歴:椅子にかけ執務中光芒を見て座せんとし中腰になりたる時、家屋倒壊し左下肢特に膝部を梁材にて圧せら、けい骨、頭部骨亀裂、軟部組織に多創を見る。神経損傷なく拇趾自動運動可能なるも、膝関節に高度の比較的強直を認め疼痛のため左下肢受働位をとる。白血球6200

菊池メモ:日赤入院患者 佐々木トシ子 受傷地:天満町105東洋製鉄。病歴:椅子にかけ執務中光芒を見て座せんとし中腰になりたる時、家屋倒壊し左下肢特に膝部を梁材にて圧せら、けい骨、頭部骨亀裂、軟部組織に多創を見る。神経損傷なく拇趾自動運動可能なるも、膝関節に高度の比較的強直を認め疼痛のため左下肢受働位をとる。白血球6200

菊池メモ:陸病本院、衛生兵(23才) 方向:教育隊前で朝礼集合中後方より光。程度:二度『奇蹟的生還』。病状:火傷のため耳翼欠損す 重度の脱毛、下痢、発熱、斑点(右耳…不聞 左耳…難聴)

菊池メモ:陸病本院、衛生兵(23才) 方向:教育隊前で朝礼集合中後方より光。程度:二度『奇蹟的生還』。病状:火傷のため耳翼欠損す 重度の脱毛、下痢、発熱、斑点(右耳…不聞 左耳…難聴)

菊池メモ:日赤外来患者 池本愛子11才 受傷地:舟入町屋内二階(ガラスしめてあり)病状:初診20.9.24、原爆症並水膿性毛嚢炎。1週間後脱毛、食欲不振 歯茎出血 発熱。2週間後、白血球3600、赤血球38000 その後良好。9.20頃より毛穴一致し濃症生じて痛む 24日現在脱毛頭毛のみ。顔面に褐色色素沈着散在 四肢には多数濃胞存在し足背は多少浮腫状にはれている

菊池メモ:日赤外来患者 池本愛子11才 受傷地:舟入町屋内二階(ガラスしめてあり)病状:初診20.9.24、原爆症並水膿性毛嚢炎。1週間後脱毛、食欲不振 歯茎出血 発熱。2週間後、白血球3600、赤血球38000 その後良好。9.20頃より毛穴一致し濃症生じて痛む 24日現在脱毛頭毛のみ。顔面に褐色色素沈着散在 四肢には多数濃胞存在し足背は多少浮腫状にはれている

菊池メモ:佐々木忠考(26才)受傷地:中国軍管区兵器部(爆心地に近し)程度:二度、広範囲にわたり。病状:頭髪脱毛、下痢、発熱40度

菊池メモ:佐々木忠考(26才)受傷地:中国軍管区兵器部(爆心地に近し)程度:二度、広範囲にわたり。病状:頭髪脱毛、下痢、発熱40度

菊池メモ:受傷地:広島城下、軍管下司令部兵舎室内 病状:倒壊により腰をうつ 原爆症、浮腫状、無欲症状、脱毛、斑点、下痢、白血球4200〜4800。腰部挫傷のため歩行不能となり何等の火傷創無きも安静をとり一死を免れ得たるものと見うる

菊池メモ:日赤看護婦寄宿舎にて柱が倒れかかり右下腿骨複雑骨折す。右上膊神経叢不全麻痺あり受傷部該部圧迫を受けたるものと認む

栄養不良。全身脂漏性湿疹の赤ちゃん。

血液検査。放射能障害は白血球の著しい減少が特徴である。そのため血液検査が診断の手がかりとなった。大破した日赤病院でもようやく機器が整って、この時期には検査ができるようになり、市民の被爆者からも血液検査を求める者が増えた。
血液検査。放射能障害は白血球の著しい減少が特徴である。そのため血液検査が診断の手がかりとなった。大破した日赤病院でもようやく機器が整って、この時期には検査ができるようになり、市民の被爆者からも血液検査を求める者が増えた。

外来待合所。

若い看護婦の中には、飛んできたガラスで顔に傷を受けた人もいた。

若い看護婦の中には、飛んできたガラスで顔に傷を受けた人もいた。

広島日赤病院レントゲン室。開けようとしている戸棚はレントゲンフィルムの保管庫。

レントゲンフィルム保管庫。この中に入っていた未撮影のフィルムはカセットに入れてあり、保管庫の扉は閉まっていた。が、フィルムはカブリの状態で感光していた。

爆心に面した側の窓。

本館1階中庭側の窓。窓枠が爆風で内側にめりこんでいる。

火傷の治療

日本赤十字病院

日本赤十字病院

日本赤十字病院

広島日赤病院全景。

広島日赤病院全景。

広島日赤病院全景。
日赤へ荷車で運ばれる被爆者。
日赤へ荷車で運ばれる被爆者。